ISO9001:2026年版FDISのポイント7.4「コミュニケーション」には、どのような対応が必要か?

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結論

ISO9001:2026年版FDISの7.4では、新しい会議体や複雑なルールを作ることよりも、自社が現在行っている内部・外部コミュニケーションを整理し、その目的や対象者、実施方法を明確にすることが重要です。

7.4「コミュニケーション」が求めていること

ISO9001:2026年版FDISの7.4では、組織に対して、

品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない

ことを求めています。

特徴的なのは、この要求事項が必ずしも詳細な手順書の作成や記録の保管を求めていない点です。

ISO規格には、文書化した情報や記録の保持を明確に求める要求事項が数多くあります。しかし7.4では、コミュニケーションそのものを適切に実施することに主眼が置かれています。

これは、コミュニケーションにはスピードや柔軟性が求められるためだと考えられます。近年では、

  • チャットツール
  • Web会議システム
  • グループウェア
  • 自動通知システム

などが急速に普及しています。

こうした環境の中では、必ずしもすべてを文書や議事録として残すことが最適とは限りません。

コミュニケーションで明確にすべき5つの要素

規格では、コミュニケーションについて次の事項を決定することが求められています。

1. 何を伝えるのか(内容)

まず重要なのがコミュニケーションの内容です。

実務的には「目的」と言い換えると理解しやすいでしょう。例えば、

  • 品質実績の分析
  • 顧客満足度の共有
  • 不適合やクレームの報告
  • 改善活動の推進
  • 委託先との品質連携

などが考えられます。

品質会議やマネジメントレビューも、品質マネジメントシステムにおける代表的なコミュニケーションの場と言えます。

2. いつ実施するのか(時期)

次に「時期」です。

ここで誤解しやすいのは、規格が「定期的に実施すること」を求めているわけではないという点です。

例えば、

  • 毎月実施する
  • 年1回実施する

という定期開催も一つの方法です。しかし、

  • 異常が発生した場合
  • クレームが発生した場合
  • 顧客から要請があった場合
  • 必要に応じて実施する

という定め方でも問題ありません。

大切なのは「いつ行うのか」を明確にすることです。

3. 誰に対して行うのか(対象者)

対象者とは、コミュニケーションを受ける側のことです。例えば、

  • 特定部門の担当者
  • 部門長会議の参加者
  • 全従業員
  • 顧客
  • 協力会社
  • 業務委託先

などが対象になります。

品質に関する情報が、誰に伝達されるべきなのかを整理することが重要です。

4. 誰が実施するのか(発信者)

対象者と混同しやすいのが、「コミュニケーションを行う人」です。こちらは、

  • 会議の主催者
  • 報告責任者
  • 品質管理責任者
  • 各部門長

など、発信する側を指します。

誰が責任を持って情報を発信するのかを明確にすることで、責任と権限を整理することができます。

5. どのように行うのか(方法)

現代のコミュニケーション手段は非常に多様化しています。例えば、

  • 会議
  • 電話
  • 電子メール
  • チャットツール
  • Web会議
  • グループウェア
  • 自動通知システム

などがあります。

また一つの目的に対して複数の方法を組み合わせるケースも珍しくありません。品質会議を開催しながら、

  • 一部参加者はオンライン参加
  • チャットで意見を共有
  • 資料はクラウドで配布

といった運用も一般的になっています。

ISOのために新しい会議を作る必要はあるのか?

コンサルティングの現場でよく見られるのが、

「ISOのために新しい会議を作ろう」という考え方です。

しかし、この発想は運用負荷を増やし、形骸化の原因になることがあります。むしろ重要なのは、

「現在どのようなコミュニケーションが行われているか」

を把握することです。

品質マネジメントシステムは、多くの場合すでに組織の中に存在しています。そのため、

  • 定例会議
  • 朝礼
  • 部門ミーティング
  • 顧客対応会議
  • 協力会社との打合せ

など、既存の仕組みを整理したうえで、不足があれば補強するという考え方が望ましいでしょう。

チャットツールとWeb会議利用時の注意点

近年はTeamsやSlackなどのチャットツール、Web会議システムが広く活用されています。

これらは品質マネジメントシステムにおいても非常に便利なコミュニケーション手段です。一方で、

  • 機密情報の共有
  • アクセス権限の設定
  • ファイル共有の範囲

には注意が必要です。

本来閲覧権限のない人に品質情報や顧客情報が共有されてしまうと、品質問題だけでなく情報セキュリティ上の問題にも発展しかねません。

便利さとセキュリティのバランスを考慮しながら運用することが重要です。

まとめ

ISO9001:2026年版FDISの7.4「コミュニケーション」は、会議や記録を増やすことを求める要求事項ではありません。

自社の品質マネジメントシステムにおいて、

  • 何を伝えるのか
  • いつ行うのか
  • 誰に伝えるのか
  • 誰が実施するのか
  • どのように実施するのか

を明確にし、実際の業務に即したコミュニケーションの仕組みを構築することが求められています。

ISO対応のために新しい仕組みを作るのではなく、現在機能しているコミュニケーションを整理し、必要な部分を強化していくことこそが、実効性の高いQMS運用につながると言えるでしょう。

ISO9001認証取得支援については、ISO9001認証取得支援をご覧ください。

マネジメントシステム文書の統合・スリム化に関しては、こちらのコラムをご覧ください。

マネジメントシステム統合のメリット・デメリットは、こちらのページで詳しくご紹介しています。

複数マネジメントシステムの統合支援は、こちらのページをご覧ください。

この記事の著者/責任者

株式会社アールアンドイー 代表取締役 平間 亮 (Hirama Ryo)

私はこれまで20年以上にわたり、組織のISO等の認証取得支援に関わる中で、「認証取得そのもの」が目的化し、本来の改善活動や企業価値向上につながっていないケースを数多く見てきました。そのような課題を解決したいという思いから、組織の実態に合った仕組みづくりを支援する株式会社アールアンドイーを設立いたしました。現在はISO9001、ISO14001、ISO27001、プライバシーマークをはじめとする各種認証取得支援に加え、CSR調達対応やマネジメントシステムの統合・スリム化支援などを行っています。私たちは「認証を取得すること」ではなく、「組織に根づき成果につながる仕組みをつくること」を大切にし、これからもお客様それぞれの課題に寄り添いながら、実践的な支援を続けてまいります。

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