プライバシーマークとISO/IEC 27701:2025の違いとは?認証選択で押さえるべきポイントを解説

個人情報保護やプライバシーガバナンスへの要求が高まる中、多くの企業が第三者認証の取得を検討しています。その代表例が、日本国内で広く認知されている「プライバシーマーク」と、国際規格である「ISO/IEC 27701:2025」です。

両者はいずれも個人情報やプライバシー情報の適切な管理を目的とした認証制度ですが、その成り立ちや適用範囲、審査の考え方には大きな違いがあります。

本記事では、プライバシーマークとISO/IEC 27701:2025の違いを整理しながら、自社に適した認証を選択するためのポイントを解説します。

目次

プライバシーマークとは

プライバシーマーク制度は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営する第三者認証制度です。

事業者が「個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針」に適合した個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を構築・運用している場合、プライバシーマークの使用が認められます。

日本国内では認知度が高く、特にBtoB取引や官公庁関連業務、個人情報を取り扱う受託事業などで取得を求められるケースが多く見られます。

個人情報保護に積極的に取り組む企業であることを対外的に示す制度として広く活用されています。

ISO/IEC 27701:2025とは

ISO/IEC 27701は、プライバシー情報マネジメントシステム(PIMS)の国際認証規格です。

従来のISO/IEC 27701は、情報セキュリティマネジメントシステムであるISO/IEC 27001を拡張するアドオン規格として位置付けられていました。

しかし2025年改訂版では、独立した認証規格として再構成され、単独での認証取得が可能になりました。

国際標準化機構(ISO)が策定する規格であり、世界各国の企業や組織が取得できる点が特徴です。

グローバル市場でサービスを提供する企業や、海外顧客との取引がある企業にとっては、国際的な信頼性を示す有効な手段となります。

大きな違い① 制度運営主体

まず両制度の最も分かりやすい違いが運営主体です。

プライバシーマーク

  • 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営
  • 日本国内向けの認証制度
  • 国内企業や国内取引先へのアピールに強み

ISO/IEC 27701:2025

  • ISO(国際標準化機構)の国際規格
  • 世界各国で認証取得可能
  • 海外顧客やグローバル市場への説明力が高い

つまり、国内中心の事業であればプライバシーマークが有効なケースが多く、国際展開を視野に入れるのであればISO/IEC 27701が有力な選択肢になります。

大きな違い② 適用範囲の考え方

認証取得を検討する際に重要なのが適用範囲です。

プライバシーマーク

プライバシーマークでは、原則として法人全体を対象に個人情報保護マネジメントシステムを構築することが求められます。

特定部署だけを切り出して認証を取得する考え方ではなく、組織全体として個人情報保護に取り組むことが基本となります。

ISO/IEC 27701:2025

ISO/IEC 27701では、プライバシー情報の取扱いに関する事業やプロセス単位で適用範囲を設定できます。

例えば、

  • クラウドサービス運営事業
  • システム開発事業
  • データ分析サービス
  • コンタクトセンター業務

など、特定事業を対象とした認証取得が可能です。

そのため、多角的な事業を展開する企業にとっては柔軟性が高い制度と言えるでしょう。

大きな違い③ 「個人情報」と「PII」の考え方

両制度を比較する上で非常に重要なのが、管理対象となる情報の考え方です。

プライバシーマークの場合

プライバシーマークは、個人情報保護法の個人情報の定義を基礎としています。

つまり、

  • 生存する個人に関する情報
  • 特定の個人を識別できる情報
  • 他の情報と容易に照合できる情報
  • 個人識別符号を含む情報

が中心となります。

さらにJIS Q 15001では、

  • 死者情報を管理対象とすることが望ましい場合がある
  • 仮名加工情報
  • 匿名加工情報
  • 個人関連情報

も管理対象として考慮することが求められています。

ISO/IEC 27701:2025の場合

ISO/IEC 27701では、「個人情報」ではなくPII(Personally Identifiable Information:プライバシー情報)という考え方を採用しています。

PIIとは、

個人を識別できる情報、あるいは他の情報と組み合わせることで個人を識別できる情報

を指します。

重要なのは、日本の個人情報保護法で用いられる「容易に照合できる」という概念に限定されないことです。

将来的なデータの組み合わせや、他者が保有する情報との連携によって個人識別が可能になる場合もPIIとして管理対象になる可能性があります。

そのため、クッキー情報やIPアドレス、デバイス識別子などについても、より広い視点でプライバシーリスクを評価する傾向があります。

大きな違い④ 審査方法

審査の進め方にも違いがあります。

プライバシーマーク

審査は大きく2段階です。

文書審査

事前に提出したPMS文書を審査員が確認します。

現地審査

審査員が来社し、運用状況や担当者へのヒアリングを通じて実態を確認します。

ISO/IEC 27701:2025

ISO認証は一般的なマネジメントシステム認証と同様に実施されます。

第1段階審査

規程類やマネジメントシステムの枠組みを確認します。

第2段階審査

運用状況の確認、従業者へのインタビュー、現場確認などを行います。

審査工数は組織規模や適用範囲によって変動します。

どちらの認証を選ぶべきか?

プライバシーマークとISO/IEC 27701のどちらが優れているというものではありません。

重要なのは、自社の事業目的に合った認証を選択することです。

例えば、以下のような観点で検討するとよいでしょう。

プライバシーマークが向いているケース

  • 日本国内での事業が中心
  • 官公庁や自治体案件が多い
  • 国内企業との取引要件に対応したい
  • 組織全体の個人情報保護体制を強化したい

ISO/IEC 27701:2025が向いているケース

  • 海外取引がある
  • グローバル展開を進めている
  • SaaSやITサービスを提供している
  • 特定事業単位で認証を取得したい
  • 国際的なプライバシーガバナンスを構築したい

まとめ

プライバシーマークとISO/IEC 27701:2025は、どちらもプライバシー保護を目的とした第三者認証ですが、その設計思想には違いがあります。

プライバシーマークは日本の個人情報保護法を基盤とした国内向け制度であり、ISO/IEC 27701:2025はPIIというより広い概念を採用した国際認証です。

また、適用範囲や審査方法、認証の活用場面も異なるため、「どちらを取得するべきか」は企業の事業戦略や取引要件によって変わります。

認証取得を検討する際は、単なる知名度や流行ではなく、「どの市場で信頼を獲得したいのか」「どの範囲のプライバシーガバナンスを構築したいのか」という観点から、自社に最適な認証制度を選択することが重要です。

ISO/IEC27701:2025認証取得支援のページはこちら。

ISO/IEC27701:2025への移行支援のページはこちら。

ISO/IEC27701:2025への移行期限に関するコラムはこちら。

PIIと個人情報の違いに関するコラムはこちら。

プライバシーマーク認証取得支援のページはこちら。

この記事の著者/責任者

株式会社アールアンドイー 代表取締役 平間 亮 (Hirama Ryo)

私はこれまで20年以上にわたり、組織のISO等の認証取得支援に関わる中で、「認証取得そのもの」が目的化し、本来の改善活動や企業価値向上につながっていないケースを数多く見てきました。そのような課題を解決したいという思いから、組織の実態に合った仕組みづくりを支援する株式会社アールアンドイーを設立いたしました。現在はISO9001、ISO14001、ISO27001、プライバシーマークをはじめとする各種認証取得支援に加え、CSR調達対応やマネジメントシステムの統合・スリム化支援などを行っています。私たちは「認証を取得すること」ではなく、「組織に根づき成果につながる仕組みをつくること」を大切にし、これからもお客様それぞれの課題に寄り添いながら、実践的な支援を続けてまいります。

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